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AE86用HTSダンパーのAE111スーパーストラットへの流用


TRDのスーパーストラット用純正形状ショックのシェルケースに
TOKICOのAE86用のHTSダンパーを組む方法です。
ただし、TRDの純正形状のショックでも
生産時期によりネジ式と溶接式があるようです。
今回用いるシェルケースはネジ式なので、溶接式については不明です。
お約束ですが、実行については自己責任でお願いします。


一般的にはショックが抜けたときの対処法として次の3つの方法があります。

1. シェルケースごと買い替え
2. OH (OH可能な品に限る)
3. カートリッジのみ新品に交換(交換可能な品に限る)


1は最も一般的な方法ですが、経済的な負担も大きいです。

2の場合、物を一度メーカーに発送してOHしてもらうことになりますから、
その間に代理のショックが必要になりますし、
交換作業も2度必要です。
OHの費用はメーカーにより異なると思いますが、
それでも1の場合よりは遥かに安いです。
追加料金を支払えば、減衰力の変更など、
仕様も自分好みに変えられる場合もあります。

3は最も合理的かつ経済的な方法だとは思うのですが、
品揃えが少ないのが難点です。
減衰力調整式のカートリッジも少ないです。
また、異なるメーカーのカートリッジを組み込もうとした場合、
形状やサイズの違いなどの課題を克服せねばなりません。
逆に言えば、一度方法を確立させてしまえば、
後はカートリッジを交換
(シェルケースのリングナットを外してカートリッジを入れ替える)
するだけでOKになります。
足の交換作業とカートリッジの代金は必要ですが、
1の経済性の問題と2の作業性の問題を一度に解決することができます。


今回は上記の3について私が検証した内容を
このページに記録しておこうと思います。


ノーマルストラット(N/S)ではリンクにあるAE-MY GARAGEで検証が行われています。
しかし私の車はS/S。
S/Sのフロントでも何とかしたい。

そんな時、ヤフオクで加工済みのTRDのシェルケースを見つけました。
このシェルケースは、TOKICOのAE86フロント用のHTSダンパーを
入れるための加工した物だそうでした。

AE86用のHTSダンパーの説明はこちら。
http://www.tokico-giken.co.jp/tokico/sports/lineup.htm
減衰力調整式のカートリッジなのにこの価格は魅力的です。
私のお気に入りの通信販売のショップBOMBでは、
送料、税込みで約2万円で購入できましたし。

で、加工済みというのは具体的にどこを加工したかというと、
リングナット(シェルケースの先端のフタのネジ)を外し、
古いカートリッジの取り出しと、
シェルケースのくぼみを修正したことのようです。


購入した加工済みシェルケース。
リングナット(3つあるうち、下の黒い物)を外し、古いカートリッジが外してあります。
シェルケースの中心部、青い塗装が少し剥げた箇所が窪みを修正した跡だと思われます。



この部分の窪みを油圧プレスしたとのことです。
詳しい方法はわかりませんが。。。
この窪みをまっすぐに修正しないと、新しいカートリッジが引っかかって入りません。

出品者はの方は何らかの事情により
この品を手放すことになったようです。
で、私がヤフオクにて格安で落札。(笑)
続きを検証してみることにしました。


HTSダンパーを注文し、役者が揃いました。


HTSダンパーとシェルケースとリングナット。
3つあるリングナットは
上:クスコのAE92用のComp-S用のリングナット(後で詳しく説明します)
真ん中:HTSダンパーを購入すると付いてくるリングナット
下:TRDのシェルケースに付いていたリングナット
です。


そして実際にシェルケースに入るのかを確認。



しっかり入りました。
内径、長さともバッチリのようです。
ちなみにHTSダンパーは
外径42mmくらい(カタログに記載されていないので大体の実測)、
本体の長さ(ロッドは含めない)は332mm(カタログに記載)です。


次はリングナットを締めなければなりません。
しかし。。。


TRDのシェルケースに付属していたリングナットでは
形状が合わず、締まりません。


そこで次に。。。


HTSダンパーに付属のリングナットで試してみました。
一見、締まっているように見えますが、ネジのかかりが甘く、
これでは使用できません。
どうやらピッチが異なるようです。


どうやらリングナットの裏側は薄っぺらい形状になってないとダメなようです。
そこでクスコのAE92用の車高調Comp-Sのリングナットを用意してみました。


左がTRD、真ん中がHTS、右がComp-Sのリングナット。


Comp-Sのリングナットだときちんと締まりました。
写真だとねじ山が残っているように見えますが、
これでも半分くらいまで締まってます。
ガタつきもありません。


Comp-Sのリングナットはカー用品店などを通して単品で注文できます。
http://www.cusco.co.jp/04ctl/sus_pdf/04cs_1.pdf
今回はAE92用で試しましたが、他の形式では不明です。
1個1000円くらいでした。


ここまでの経緯で一応、車に取り付けることはできそうですが、
リングナットにパッキンを挟まないと水がシェルケース内に浸入する危険性も無視できません。
ここで再度リングナットを見てみましょう。



左のTRDの物は実は内側にゴム状のパッキンが付いていますが、
他の二つにはそれがありません。
このパッキンはロッドとリングナットの隙間から
異物が混入することを防ぐ役目をしていると思われます。
まぁそのせいでリングナットが締まらないのですが。。。


Comp-Sのリングナットだと、下の写真のように若干の隙間ができます。



この隙間をうまくふざぐパッキンを買ってくるか自作するかしかないですね。
情報によると、GABのリングナットならこの辺の問題も解決してくれるらしいのですが、
ショックと一緒に生産中止になってしまい、現在では手に入らないようです。

まぁこのままでもとりあえず使えないこともないのですが、
異物が隙間に入ってロッドを傷付けたり
水がシェルケース内に入ってシェルケースやネジ部が錆びて
トラブルの原因になる可能性があります。


というワケで、ホームセンターで適当なパッキンを探すことに。
ロッドの直径は約20mmなので、
多少幅を持たせて、19mm〜22mmの物を選んできました。



一袋に2個入っていました。
で、これらをおもむろにロッドに巻きつけました。




パッキンの厚みは1枚で2mm、
6枚重ねて12mmくらいにすると良い感じにフィットします。
後はリングナットを被せると。
リングナットの上部の穴の直径は24mmくらい、
内部のスペースは直径40mmくらいです。
なので、上記の条件をまとめると、
パッキンは内径20〜21mm、外径24〜40mmくらいのものが良いと思います。


ちょうど外径24mmのパッキンをリングナットの上部に固定できれば1枚で済むのですが、
固定が甘いとロッドの上下運動でズレてしまう可能性があります。
なので、今回はこのように複数個巻きつけて、
リングナットで上から被せて固定する形式にしました。
あまり美しい方法じゃないかもしれませんが。

リングナットの内部のスペースは大部分パッキンで埋まったと思います。
リングナットを締めればゴムが密着して水が入る心配もないとは思うのですが、
念には念を入れて、上記の隙間を埋めることにしました。
さて何を使って埋めるか。。。
ということで選んだのがバスコーク。



風呂場のタイルとか、窓の枠に使われている、あのプヨプヨしたやつですね。
ホームセンターで500円くらいで売ってます。
耐熱温度も200℃くらいなんで、温度の心配もないと思います。
これを上記の隙間に塗りました。




ここまでやれば多分大丈夫でしょう。
もちろん、ロッドもきちんと動きます。
バスコークを塗るときにロッドに付着してしまいますが、
このリングナットの内部には先に示したようにパッキンを巻いてありますし、
ダンパー側のオイルシールもあります。
ロッドの上下運動でバスコークがダンパー本体に入る心配はないと思います。
次回に分解するときの問題もありますが、
バスコークはそれ程大量に使っていません。
リングナットの内側に付着する分はこすり落とし、
ゴムのパッキンは買い換えれば良いかなと考えています。


さらにフィッティングを良くするために、長すぎるリングナットをカットしてみました。



左がカットしたリングナット、右がカット前です。



リングナットの長さに合わせて、ゴムのパッキンの数を減らしました。
リングナットはカットしなくても特に不具合がありませんでしたが、
これでさらにフィッティングが良くなりました。


GABスーパーとの比較

今まで使用していたGABスーパーと比較してみました。



シェルケースのサイズや形状は全く同じのようです。
問題はショックのストロークの長さ。



HTSダンパーの方が若干長いです。
GABのストローク量はおそらく純正と同じです。
HTSダンパーはN/Sの純正ショックに比べると若干ショートになっているようですが、
それでもS/S純正より長いようです。


車高について

このHTSダンパーをTRDのローハイトスプリング(ダウン量20〜30mm)と組み合わせて車に組んでみました。
GAB + ローハイトのときはフロントとフェンダーの隙間は指3本というところでしたが、
上記の仕様では指4本になってしまいました。
ノーマルの車高と同じか、少し上がってしまったくらいです。

原因を考えると。。。
HTSのロッド長が長いためかもしれません。
ショックはショートストロークになると同じバネでも車高はより下がりますが、
今回は逆の原理になりました。
ロッドの自由長が長ければ、バネをあまり縮めない状態から車に組むことになりますし。
他には、今まで使用していたGABはすでに抜けており、
HTSは新品でロッドの戻りの力も強い。
つまり、バネだけでなくロッドの反発力でも車重を支えていることになり、
車高が上がったとも考えられます。

いずれにせよ、車高の前後バランスをとるためにも、
もう少しフロントの車高を落とさなければなりません。
そこでバネをTRDローハイトからエスペリアのサス(ダウン量40〜45mm)に交換してみました。
これでフロントの車高は指2本程度。
ということで、HTSダンパーを流用する場合は、
スプリングのダウン量のカタログ値よりはあまり下がらないと考えていた方が良いかもしれません。
ちなみに、ロッドが長くてもTRDもエスペリアもバネは遊びませんでした。

インプレッション

減衰力を最大の硬さから5回転戻し(最弱は7.5回転戻し)にして試運転してみました。
街乗りでは特に不満は感じません。
エスペリアのバネレートが3.8kg/mmのワリには、意外に柔らかく感じます。
ゴツゴツ感や跳ねるような感覚は、それ程感じません。

では柔らかいのかと言うとそうではなく、
ブレーキング時のノーズダイブは明らかに減りました。
高速コーナーでゆっくりと荷重をかけていったときには
しっかり踏ん張る印象があります。
細かい振動のときはロッドが適度にストロークし、
ストローク量がある程度大きくなるところから減衰力がきちんと働くのでしょうか。

サーキットでの効果に期待です。


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2005.1.10(月) 更新

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