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ノートe-Power HE12 インプレッション

基本、元スポーツカー乗りとしての目線なので、
一般ユーザーとの視線とは異なっているかもしれませんが。


<動力 モーターEM57 エンジンHR12DE>
e-Powerと言えば、まずここから語るべきところ、動力系。
エンジンは1200ccと一般的なコンパクトカーの排気量ながら、
エンジンは発電専用に徹し、駆動は100%モーターに任せるというシステム。

詳細はスペックのページ参照だが、このモーターのスペックが
最高出力 80kW(109PS)
最大トルク 254N・m(25.9kgf・m)
というもの。

馬力は同クラスのエンジン車と同等レベルながら、
特筆すべきはトルクが2Lターボクラスの実力ということ。
普通に考えればパワーなど特に求められていない1200ccクラスの
コンパクトカーにトルク25kgf・m。
数字だけ見ても明らかにオーバースペックでアンバランス。

しかもモーターの特性上、どこでもいきなり最大トルクを発生、しかも出力はフラットでクセが無い。
NAエンジンのように高回転まで回さないとパワーが出ない、とか
ターボエンジンのようにターボラグが気になるということも無く、
どんな状況でも踏んだ分だけリニアに反応する。

別のページで最初に乗った感想として
「車じゃない、別の乗り物のよう」
と表現したが、まさにこの点が当てはまる。
単純に
「パワー(余裕)があってストレスが無い」
ではなく
「レスポンスに遅れが全く無く、ストレスが無い」
という表現が正しいかもしれない。






具体的な場面で言うと、
・信号待ちからの発進時や上り坂からの発進など
通常のエンジン車ならアクセルを強く踏み込み、エンジン音が高鳴る。
自分がイメージする加速具合、車速に合うようにアクセルを微妙に調整しているところに
同時にCVTの変速も介入してくるので、
エンジン音もリニアでないし、車速の伸びも不自然でヌルヌルした感覚になる。
それをとにかく人のアクセルワークで調整する必要が出てくる。
言葉にするとものすごく負担が多くデリケートな操作に聞こえてしまうが、
まぁ誰でも普通に行っている操作ではある。

これに対し、e-Power(モーター)車は変に車側の動作が変わることなく、
出力も一定で全くクセが無い。
エンジン車で無意識に行っていた操作が、実はこんなにストレスになっていた、と言うのを
気付かされるほどの自然さ。

ここで効いてくるのが、単純に
「モーターだから」
だけでなく、
「変速機が無いから」
という面もある。
車側の状況が変わって、人のアクセルコントロールが求められる場面が無いからだと思う。
(変速機が無い、というのは、高速道路などの走行時に
燃費が極端に悪化してしまうデメリットもあるが、そこは後述。)

他にも、
・先に見えた信号が赤だったので徐々に減速してきたが、
途中で信号が青に変わったので再加速するとき。
エンジン車ではこういう場面では
「スムーズに加速体制に移りたいのに、なかなか加速しない」
とか
「アクセルを強く踏み込めば加速はするけど、CVTが動いてエンジンの回転がワンテンポ遅れて上がる」
などが、知らず知らずのうちにストレス、何となく不快な感じになる。
マニュアル車ならシフトダウンする場面。

ここもe-Powerならごく自然なアクセルワークでサッと加速体制に移れる。
メーターを見るとこういう場面では一気に出力が上がるので、
人が求める出力とはここまで必要なのか、と実感する場面ではあるが、
要求に答える能力がある、というイメージ。






あとは
・高速道路の上り坂や遅い車に追いついてしまって追い越したいとき、など。
ここはエンジン車でも排気量の大きい車であれば、
それほどストレスは生じないところだが、やはりCVTの反応遅れは気になるところ。
マニュアル車なら、やはりここもシフトダウンする場面。
軽自動車や小排気量の車となれば、アクセルベタ踏みしても
自分がイメージしている車速まで上がってくるのに相当なタイムラグがあるはず。

こんな場面でもe-Powerならストレスは少ない。
ただし、この場面ではモーターの特性と言うよりは、
車格(1200ccクラス)よりもよりも圧倒的な格上のトルク(2Lターボクラス)の動力源を積んでいる、
という面が大きいが。

とにかく、瞬時に加速したい、CVTなど変速機に介入されたくない場面、大きなトルクが必要な場面こそ
e-Powerの強味、特徴が如実に現れる、といった感覚がある。
ただし、トルクはあるが馬力は無いので、最高速を求めるような場面では弱点が出てくる。
この辺りは、法定速度というものがあるので、日常生活で不満が出てくることは無いところだが、
新東名高速道路の120km/h区間などになると、さすがにシンドさが出てくるところである。
特に燃費の面でも。(後述)

そんなこんなで、e-Powerのメリット、特徴というのが
単純に
「動力がモーターだから」
というだけでなく、実はそこに
「車格に不釣り合いな程の余裕を持ったトルクのモーターを積んでいるから」
という点と
「変速機が無いから車の挙動がギクシャクすることが無い」
という点が総合的に組み合わさっているのだという感じがします。






<燃費>
カタログ燃費はJC08モードで34.0km/L。
実際のところはトータルで20〜25km/Lくらい、というところでしょうか。
ハイブリッドカー全般に言えることですが、
ガソリン車と比較して季節、エアコン使用の有無、渋滞or高速道路など
使用状況によって燃費はものすごく変わります。

最も良い場合・・・30km/Lを超えることも。
信号の無い田舎道などを50km/hくらいで
止まることなく走り続けるような場合が最も燃費が良いです。

ハイブリッド車の醍醐味は回生ブレーキではないの?というところもありますが、
一部、回生ブレーキについて世間から誤解されている点がありますます。
回生ブレーキはあくまで無駄に捨てられるはずのエネルギーの一部を回収できるシステムであり、
そもそも回生ブレーキを使う必要のない乗り方が一番燃費が良くなります。
エネルギー保存の法則というものがありますから、
発生させた以上のエネルギーを回収できることはないわけです。
もちろん、山の頂上からスタートしてゴールが海、というようなルートなら
燃費は無限に伸びますが、スタートとゴールの標高が同じ、であれば、
基本的に平坦な道を一定速度で走るのが一番燃費が良くなります。

あと、後述しますが、ガソリン車と異なり、高速道路ではむしろ燃費が下がります。






最も悪い場合・・・10〜15km/L程度
真冬のちょい乗り、特にエンジンが暖まらないうちに
目的地に着いてしまうような乗り方が一番燃費が悪くなります。

具体的に何が起きるかというと、真冬のように気温が極端に低い場合、
e-Powerは走行用のバッテリーが満タンになってもエンジンを停止させず、
無駄にアイドリングを続けます。

これはエンジンを暖めるためであり、
さらに暖房を使用していれば、
エンジンの排熱を利用した温風を作り出すためにアイドリングを続けます。

普通なら冷却水がある程度温まり、冷却水の温度が低いことを示すランプが消えれば、
無駄なアイドリングは止めて正常の動作に戻るはずなのですが、
どうも外気温なども判断してアイドリングを継続する傾向があるようです。
また、走行中の充電についても、暖かい季節の制御と異なり、
常にバッテリーを満タン気味に保とうとするので、総じてエンジンは
ほぼ稼働しっぱなし、という状況になります。

つまり、真冬のチョイ乗り時はガソリン車と同等レベル、
ひどい場合はそれ以下まで燃費が落ちます。
ハイブリッド車は燃費が良い、というイメージですが、真冬の短距離走行は
かなり燃費がガタ落ちになる、ということは覚悟しておきましょう。

年間を通したデータによると、
夏のエアコン使用の燃費悪化よりも、冬の暖気&暖房使用の燃費悪化の方が
ダントツで悪化の程度が大きいです。






高速道路・・・20km/L前後
ガソリン車からハイブリッド車に乗り換えた時、燃費で一番違和感を感じるのがこの部分。
「高速乗ったら、燃費さらに良くなるんじゃないの?」
というところですが、実際は街乗りより悪化します。

原因として、モーターには高回転時の特有のロスがあり、出力低下、電費悪化があるという点。
つまり、100km/h走行時に必要な電気量は50km/hの電気量の2倍ではなく、
それよりもっと必要になるため、スピードを出せば出すほど、燃費が悪くなる、ということです。
なので、同じ高速道路でも80km/h区間と新東名の一部の120km/hの区間では
120km/h区間を走っている時の方がより燃費は悪くなります。

このページの冒頭部分で、e-Powerには変速機がないため、
フィーリングが良いという趣旨の記載をしましたが、
変速機が無いという点はフィーリングの面では強味ですが、
高速域のパワー不足、燃費悪化の点では弱点になります。

事実、世界の一部の高級電気自動車には変速機が搭載され始めているようで、
今後はe-Powerにも変速機が搭載される可能性はあるかもしれません。
コストアップ、車両重量アップ、機構の複雑化などのデメリットもあると思うので、
何とも言えませんが。






コンパクトカークラスの車格の割には大きいトルクの動力を積んでいる、という点では
高速域でもパワー不足感は感じにくいのですが、
踏めば加速するが、その分燃費はみるみる悪化する、というのが現実です。
この辺はガソリン車のターボ車のような感覚と似ているかもしれません。

あと、ノートe-Powerというと同クラスの同時期の車のアクア、フィットハイブリッドとの
燃費の差が話題に上がりますが、
周囲の人のデータと比べると大体の実力も
アクア > フィットハイブリッド >> ノートe-Power
という感じのようです。
燃費だけで比べたらアクアとはカタログ燃費以上の差があります。

が、私の中では、e-Power(シリーズハイブリッド)の解釈の仕方が
他のパラレルハイブリッドとは異なり
「こんなにハイパワー(トルク)なのに燃費も良いのか!」
と、好意的に解釈しています。






というのも、昔のスポーツカー乗りならわかる感覚と思いますが、
例えば同じ車種にNAエンジンとターボエンジンのグレードがある車について、
(今でも軽自動車などはそうですが)
性能(パワー)を求めるならターボ車、でもその分常に燃費が悪い
燃費を求めるならNA車、でもその分登り坂や高速道路は我慢
という二者択一の構図がありました。

そこがe-Powerという方式は
「おとなしく走れば良い燃費、でも必要な時には十分な加速性能を発揮できる」
という良いトコ取りができているシステムです。
なので、考え方によっては燃費がクラストップでなくとも、十分満足、納得できると思います。

ちなみに、HE12ノートe-Powerの後継車E13ノートe-Powerですが、
標準的なグレードXについてカタログ燃費を見てみると
JC08モードで34.8km/Lであり、旧型HE12の34.0km/Lとほとんど変わっていません。

ライバルのアクアはフルモデルチェンジでさらに燃費を伸ばし、
より厳しいWLTCモードで34km/L程度であることに注目すると、
燃費の差はさらに広がっていることがわかります。

ここは日産が燃費競争ではなく
乗り味など、違う方面で差別化していきたい方針が感じられます。
(カタログ燃費にJC08モードを載せなくなったトヨタに対し、
未だに数値が良いように見えるJC08モードを記載する
日産に未練がましい姿勢を感じる部分はありますが。)

違う見方をすると、フルモデルチェンジで高額化したE13ノートe-Powerには手を出さず、
そこそこの価格の中古HE12ノートでe-Powerを体感してみる、というのも
アリな選択肢のように思えます。






<ワンペダル>
日産が大々的に宣伝を行ってきたワンペダル方式。
電気自動車のリーフで採用された方式をe-Power車にも搭載、という流れです。

スポーツカー乗り向けの説明で簡単に表現すると、
要するにエンジンブレーキがすごくよく効くような感覚、です。
アクセルペダルの踏み込む強さが
強い時・・・加速
弱い時・・・ニュートラル
ごく弱い時・・・弱い回生ブレーキ
完全に離す・・・強い回生ブレーキ
と行く感じです。

マニュアル車を運転するときにアクセルワークのON、OFFを雑に行うと
車がギクシャクしますが、まさにあんな感じ。
慣れれば普通のCVT車やAT車には戻れない、とても良くできたシステムと思います。
急な操作をしないていねいな運転をすれば、
信号で停車する時以外(停止する直前以外)はほとんどブレーキペダルを踏まないくらいになります。






ただり、ワンペダルに関しては人それぞれ挙動の好みがあるので、
モードによって選べるようになっています。
ノーマル・・・通常のAT車のような挙動
エコ・・・ワンペダル動作あり、回生ブレーキ積極作動、アクセルは強めに踏み込まないと加速は控え目
S(スポーツ)・・・ワンペダル動作あり、回生ブレーキ積極作動、アクセルは弱めの踏み込みでも加速

ちなみに回生ブレーキ時はブレーキランプはどうなるの?というところですが、
減速Gのがある程度の強さになったことを感知する、またはブレーキペダルを踏んだ時に
ブレーキランプが点灯するシステムになっています。
ブレーキランプを点灯させるための減速Gは結構強めな設定になっているので、
赤信号などで止まる際、減速Gが弱いまま減速していって
ゆっくりていねいに停車するような減速の仕方をすると、
ブレーキランプが点灯しないまま車が完全に停車してしまいます。
後続の車を驚かせてしまうこともあり、不評なこともあるようです。

この点は新型のE13ノートe-Powerではブレーキ制御が少し変わり、
回生ブレーキで減速していっても最後はクリープ動作が残り、
ブレーキペダルを踏まなければ完全に停車できない仕様になっているようです。






<ノイズ>
日産はe-Powerのメリットとしてエンジン音の静粛性をアピールしていますが、
私は初代e-PowerのノートHE12に関しては少し不満があります。
確かにモーターだけで走っている時は文句なく静かです。
世間で話題に上がっているように、モーターだけで走るハイブリッドカーが
後ろから近づいてきても静かすぎて歩行者や自転車が気付けなくて逆に危険、
というのと同じ現象なほど静か。

40km/hとか普通の走行時もエンジンが稼働したときも、まあまあ静か。
が、問題なのは徐行くらいの速度(10とか20km/hくらい)の速度のときに
エンジンが作動すると、窓を閉め切っていても結構うるさい。
窓を開けていると、かなりうるさい。

エンジン回転数に関してはタコメータが無いのでわかりませんが、
カタログによると低速走行時はエンジン回転数も低めにして騒音を抑え、
車速に応じたエンジン回転数に制御することによって静粛性を確保している的な記載があるのですが、
どうもこの車速でそんなにエンジンの回転を上げなくても良いだろうに、
というタイミングはあります。
MT車で言うと1速で引っ張っいるような感覚。
あと、停車時は基本エンジンは停止ですが、走行用バッテリーの残量によっては
停車時にエンジンが作動して発電を行うこともあります。
このときも、まあまあうるさいです。






どうもe-Powerの初代ということで、念のためにバッテリー残量は
基本余裕を持たせた状態を維持したがるような制御になっているようです。
後継のH13ノートe-Powerに関しては、この辺が改良されて
なるべくエンジンは停止状態を長くとれるように制御しているとのことですが、
燃費よりは静粛性対策でしょうね。
最初からその制御にしてほしかった。

テスラみたいに、制御プログラムのアップデートとかで
挙動を変えてくれると助かるのですが、
そんなことは期待できないので、我慢ですね。

ちなみに高速道路では下り坂にでもならない限り、
ほぼエンジンはかかりっぱなしになりますが、
ロードノイズの方が大きくて、エンジン音はほぼ聞こえず気になりません。
インターの合流などで加速する際は、
エンジンが街中では発生しないような高回転で動作、発電するので
その瞬間はそれなりにうるさいです。






<乗り心地、グリップ感>
これが意外ですが、一般的なコンパクトカーにしてはロール感、ピッチング感少なく、
しっかりした感じです。
バネが固いという感触ではなく、ショックアブソーバーがしっかりしているような感覚です。

少し不思議な感触なのですが、
どうも足回り単独の乗り心地だけでなく、
ワンペダルの回生ブレーキと組み合わさった車全体として
挙動の乱れが少ないというか、そんな感触なのです。

私は良い感覚と思っています。
妻も他の家の車よりもノートの方が乗り心地、乗っていて楽しいと言います。
でも子供はノートが一番車酔いするようです。
この辺は良くわかりません。
運転者にとっては自然な挙動だが、
同乗者にとっては違和感を感じるような部分はある、ということかもしれません。






<トランクのサイズ感>
同時期のライバル車と比較すると、
確かアクアより大きく、フィットハイブリッドより小さい、だったように思います。

実際使ってみての感想ですが、意外に不便無い。
例えば我が家には軽の箱型車、スペーシアもありますが、
スペーシアのトランクは高さはあっても、奥行がありません。
折りたたんだベビーカーを横向きに載せたら、
買い物袋はベビーカーの上に載せるしかありません。

が、ノートの場合、
折りたたんだベビーカーのその奥または手前に
買い物袋(買い物かご)を載せるくらいの奥行の余裕がまだあります。
収納力とは、高さではなく、奥行だな、と感じる瞬間です。
なので、家族4人(5人乗りなので5人でも可)で
ベビーカー付き、スーパーで少し買い過ぎたかな、というときでも
ヒヤヒヤすることなく、荷物を積んで帰ってくることができます。

我が家のメインカーはガソリン車のVOXYですが、
燃費は10km/L程度と悪い(ミンバンとしては普通なのですが)ので、
ノートがほぼメインカーとなりつつあります。

さずかに4人乗ると家具や衣装ケースなど大きな物は乗りませんが、
そもそも大きな物って衝動買いしないでしょ、
なら大きなものを買う予定が無い時、旅行など以外なら
常にノートで移動すれば良いじゃん、となるわけです。
まあまあ使えるトランク容量です。


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2022.06.22(水)更新


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