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スーパーストラット交換


作業のシンドさとしては、ある意味伝説化されているS/S交換。
が、私が行ってみた感想としては、
難しいのではなく、面倒な箇所が多いという印象を受けました。
ディーラーや量販店に作業を依頼すると、どんなに安くても3万円以上はかかるようです。
確かに作業量は多いので、N/Sよりも工賃は高いのですが、
工賃に3万円も4万円も払うのなら、
休日を一日使って自分でやってしまった方がお得だと思います。
まぁこの辺は人それぞれ財力や作業レベル、考え方の違いですが。

でも例えばこう考えてみましょう。
中古で車高調を買って、店で取り付けました。
でも中古だから1年使ったら抜けちゃいました。
買い換えたらまた工賃払うのかよ?
ってなカンジになりますよね。
乗り心地が悪いのを我慢できなくて、すぐに取り外してしまう人もいるようです。
自分は我慢できても、助手席の人が嫌がったり。。。
というワケで、自分で交換できるに越したことはないと思います。

作業時間については、それぞれの作業レベルや使う工具、
ナットやボールジョイントの固着具合によるので、なんとも言えません。
固着して外れないものは、道具や技術がなければ一日かかってもはずれませんから。
ただ、参考までに私が初めて行ったときは、
バネ交換を含めて片側だけで3時間かかりました。
当然、慣れてくればもっと短い時間でできます。

工具

一般的な工具の他にいくつか用意するものがあります。
「一般的な工具って何?」
という方は、今の段階では諦めてお金を払って店に依頼した方が無難かもしれません。

よく言われるのがS/S交換にはSSTが必要だと言うこと。
SSTとはスペシャルサービスツ-ル(Special Service Tool)の略です。
つまり特定の工具の名前ではなく、普段はあまり使わない工具の総称ですね。


まずタイロッドエンドプーラー。↓

ショックの真ん中のボールジョイントを外すときに使います。
安い物であれば工具屋で2,000円くらいで買えます。

次にギアプーラーもしくはボールジョイントプーラーです。↓

左がアストロプロダクツで買った2,500円くらいの安物ギアプーラー。
右が整備書にも載っている、トヨタ純正のボールジョイントプーラー(品番09628-62011)です。
ディーラーや部品共販で注文でき、6,200円くらいです。
後で詳しく説明しますが、ここはケチらずトヨタ純正を買いましょう。
キャンバーコントロールアーム部のボールジョイントを外すときに使います。


次に、バネを組む作業があるなら、スプリングコンプレッサー。↓

安い物なら2,500円くらいです。
バネ交換でバネを縮めるときに使います。


それから割りピン。
整備書だとコッターピンという名称で書かれています。↓

ホームセンターで一袋80円くらい。
全部で4個必要です。
サイズは極端に大きすぎたり小さすぎたりしなければOKです。
後で詳しく説明しますが、錆び防止のためステンレスをお勧めします。
割ピンは古い物が再利用できないこともないですが、
後々錆びと曲がりで苦戦しないためにも、新品をお勧めします。
整備書にも再利用不可部品と載っていますし。
ボールジョイント部で、万が一の緩みを抑えるため(?)に使います。

あとは17〜22mmくらいのメガネレンチ、
19〜21mmくらいのディープのソケットがあればOKです。
工具によってはプーラーの締め付けボルトがのサイズが
16mmなどという特殊なサイズの場合もあるので、
事前にチェックして揃えておきましょう。
足交換なので、作業の途中で忘れ物に気が付いても、
車で工具屋やホームセンターに買いに行くことはできませんから。


厳密には、ショックにくっついているボールジョイントは再利用不可部品ですが、
大きなガタが出ていたり、ねじ山が潰れていない限りは、特に交換する必要もないかもしれません。
ボールジョイントを打ちかえるにも、専用のSSTが必要ですし。


ぶっちゃけ、ディーラーで足交換の依頼をしても、
このボールジョイントは打ち直さないらしいです。
ただしグリス漏れやサビ付など、あまりにも状態がひどい場合は
打ち直しも検討しましょう。
異音が出てしまうこともあるようです。

後はブレーキクリーナーやCRCなどですね。
あっ、そうそう。
作業は一人でもできないことはないですが、
助っ人がいてくれると非常に助かります。
タイヤハウスに頭を突っ込んで作業するので、昼でも暗くて細部が見えないことがあります。
そんなときにライトで照らしてもらったり、
あとは重いものを押さえてもらったりですね。
一人だとショックを車体に組むときに、片手でショックを持ち上げ、
片手でアッパーのナットを締めねばならず、ここがツライのです。
足りないものに気が付いたときに買い出しに行ってもらうこともあるかもしれないので、
やはり二人以上いた方が安心です。


交換手順

いきなりジャッキアップしてはいけません。
まずはタワーバーの付け根のところにある、ショックの頭のナットを緩めます。
緩めるのを忘れると、後で厄介なことになりますので。
完全に外すワケでもありませんよ。
緩めるだけです。
このとき、おそらくディープのソケットが必要になるとなります。
通常のソケットだと奥まで入りません。

で、ジャッキアップしてタイヤを外します。
ショックとご対面ですね。



赤丸で囲んだ2箇所のナットを外します。
写真だと左はスタビのリンク、右はブレーキホースを固定している箇所ですね。
あと、ブレーキホースはショックの裏側でも固定されています。
クランプが挟んであるはずなので、これはペンチなどで引き抜いてください。

ここで一つ問題が。
本来、スーパーストラットのショックを交換するときは、
ブレーキホースを途中で切り離さなければなりません。
ブレーキホースの配置を観察してもらえばわかっていただけると思いますが、
ショックに溶接されているステーを通る配置になっているからです。
鎖のようにかみ合っていると表現すれば良いでしょうか。
つまり、ショックを車から外すためには、
ブレーキホース側を分断(元々分割式になっています)するか、
ショック側のステーに切れ目を入れるしかありません。
前者だと後でブレーキフルードの補充とエア抜きの手間が増え、フルード代も発生します。
が、後の作業はやりやすくなりますし、
誤ってブレーキホースやABSのスピードセンサーを傷つける危険性も低減できます。
後者は上記の手間は省けますが、ショックを車体から取り外すとき(組むとき)に
ブレーキホースの間をかいくぐらせねばならず、多少厄介です。
あと、一度切ってしまったステーは元に戻りませんし。

一般的には後者のやり方で作業を行う人が多いようです。
ショックを中古で購入した人などは、ステーを確認してみましょう。
前のオーナーがどちらのやり方で作業したかがわかります。


話が多少脱線しましたが、上記の二箇所のナットと、
ショックの裏のステーをクリアすれば、
ブレーキホースはショックから離れているはずです。
次はいよいよ二箇所のボールジョイントを外します。

まず上部。



外側からは見えにくい部分ですが、写真の部分を見つけてください。
ドライブシャフトの真上です。
まずはこの部分の割りピンを外します。
ペンチなどで曲げてあるのをまっすぐに直し、引き抜いてください。
錆などで固着している場合は、CRCなどを吹くと良いです。
ピンが抜けたらナットを外します。
確かサイズは19mmだったと思います。




外した割りピンとナット。
割ピンは錆びてしまっていると、外すのに苦労します。
次回に苦戦しないように、後の取り付けの際には新品のステンレス製のものを使いましょう。
外したナットはなくさないように。

さて、ボールジョイントの切り離し。




写真のように、タイロッドエンドプーラーを挿し込み、
ボルトに下の爪をしっりとひっかけてください。
爪が引っかかったら、プーラーのボルトを締め付けていきます。
少々怖いかもしれませんが、躊躇せずグイグイ締め付けてください。
すると、ある瞬間、
バンッ!とかガキンッ!というデカい音と共にジョイントが外れます。
壊れたわけではないので、心配しないように。
外れると、このようにショックが少し浮いた形になります。



さて、次はキャンバーコントロールアーム部のボールジョイントの切り離しです。




まずは上の写真の部分の割ピンとキャップ、ナットを外します。
純正の割りピンはスチールのなので、写真のように錆びてしまっている可能性大です。
例のごとく、CRCを吹いておくと良いでしょう。
ナットのサイズは22mmだったと思います。




左からナット、キャップ、割ピン。
なくさないようにしましょう。

さて、先ほどと同じく、ボールジョイントの切り離しです。




写真のように、ギアプーラーをセットします。
ナットは軽くかませておくと、プーラーの作用点がフラフラせずに済みます。
写真のギアプーラーは3つ爪でも2つ爪でも使えますが、
3つ爪にしてもきちんと爪がかからないと意味がないので、
2つ爪に組みなおしています。

で、例のごとく、プーラーのボルトを締め付けていきます。
ここでも外れる瞬間にバンッ!とかバキンッ!などと大きい音が鳴りますが、
驚かないようにしましょう。

実は写真のギアプーラーだと、爪のかかりが甘く、またトルクもあまりかけられません。
交換作業ができない、ということもないのですが、
ボールジョイントが頑固に固着している場合は、トルクをかけると爪が外れるか、
プーラーのボルトが曲がります。




私が作業したときには、このようにプーラーが壊れてしまいました。
爪も一度なめてしまうと、工具としては役に立たなくなってしまいます。
よって私は上記のトヨタ純正ボールジョイントプーラー(品番09628-62011)をお勧めします。



トヨタ純正(写真右)の良いところは、爪の方にもボルトが付いており、
爪そのものを締め付けてしっかりひっかけることができます。
また、爪もの形状も薄く、アームに引っ掛けやすいです。
コレに対し、左のギアプーラーは爪を引っ掛けるだけです。
なので、ボルトを締めていくと爪が外れて作業が難航することが多いです。
爪も厚いですしね。

ボールジョイントが外れない、工具が壊れたという状況に陥ると、
作業は中断ということになりますので、
ここはやはり工具代をケチらない方が良いと思います。


話を戻して。
ここまで作業が進むと、後はショックが車体とつながっているのは
アッパーマウントのボルトだけになっていると思います。
タワーバーの3つのナットをはずしましょう。
と言っても、いきなり外してはいけません。
外した瞬間にショックがガタンと落ちて
ブレーキホースやドラシャブーツを傷つけてしまいますから。
ショックが落ちないように、手で支えながら、ゆっくりナットを外してください。
実はこの辺の作業が一人だと一番ツライところです。^^;
タワーバーの3つのボルトが外れると、ショックがフリーになりますので、
各部を傷つけないように、車体から取り出してきます。

次はバネを交換する場合。
アッパーマウントを取り外し、バネとショックをバラバラにするわけですが、
いきなりショックの頭のナットを外してはいけません。
アッパーマウントが発射されてしまい、危険です。



写真のようにスプリングコンプレッサーをかけ、バネを縮めていきます。
ある程度バネが縮み、アッパーマウントがゆるゆるになったら
ショックの頭のナットを外します。
このとき先に書いたように、ショックを車に組んだ状態でナットを緩めておかないと、
ナットに力をかけてもショックのロッドと一緒にクルクル回ってしまいます。
その時は、バネの上のお皿の切りかきにドライバーなどをうまくひっかけて対応しましょう。
インパクトなどがあればあれば便利ですが、
本来はこの部分にインパクトは使用禁止ですし。

一度バラバラになったら、交換するバネやショックの組み合わせに換え、
後は元のように戻すだけです。
このとき注意することは、3つあります。
1. バネの下の端をショックの受け皿のくぼみに合わせる。
2. ショックの先端の切りかきを上の受け皿の切りかきに合わせる。
3. バネの上の受け皿の「OUT」や「△」の印を、車体の外側に合わせる。
です。
3の車体の外側とは、ショックのアームの位置関係を見ればわかるはずです。
わからなかったら、反対側のショックを観察して確認しましょう。
これらを合わせないと、後々の異音などの原因になります。
ショックの頭のナットは仮締めでOKです。
本締めしようとしてもロッドが回ってしまうので無理です。


ここまでくれば、後は車体に再びショックを組み込むだけです。
例のごとく、ブレーキホースなどの各部位を傷つけないように、車に組み入れます。
そしてアッパーマウントのボルトをタワーバー部に固定。
このとき、車体とアッパーマウントの向きも指定されている場合もありますので、
アッパーマウントにある印を見ながらクルクル回します。
わからなければ、反対側のアッパーの組み付けを参考にしましょう。
この作業も一人だとシンドイんですよね。。。
アッパーのナットは軽く締めるくらいで良いです。
外すときと違い、組み付けのときは各ナット類は1Gの状態で締めなければなりません。
1Gとは、車体が地面に接地している状態のようなものです。
こうしないと、後で(タイヤ接地状態で)各アーム類の角度が狂うため、
その時はしっか締めたはずのナットが後で緩んだりします。

次は二箇所のボールジョイントの組み付け。
アーム類を上下左右にグイグイ動かして、うまく穴にボルトを入れてください。
ただし、ナットを締めるときは1Gです。
アーム類を人力で持ち上げるのはシンドイので、
車載のパンタジャッキなどで下から持ち上げ、1G状態を作ってください。



↑下のほうにチラッと写っているのがパンタジャッキです。
このようにアーム類を支えると良いと思います。


ナットを本締めしたら、キャップや新しい割ピンをセットします。
ボルト、ナットの穴やキャップの窪み等はうまく合わせてください。

あとはブレーキホースやスタビのリンクを元のように締めます。
スタビのリンクも1G状態でないと、組めないと思います。

タイヤを付け、車体を下ろします。
しかし、これで作業完了ではありません。
タワーバー部分のナットの本締め、
ショックの頭のナットの本締めを忘れないでください。
あと、基本ですがホイールナットの本締めも。

作業の中でキャリパーを掴んでグイグイ動かしていたと思うので、
ひょっとすると運転時の1回目のブレーキは床までスコンと踏みぬけてしまうかもしれません。
これはピストンが正常な位置に戻ってきただけですので、
心配する必要はないと思います。
しかし念のため、ブレーキホースの亀裂やフルードの漏れがないかは、
きちんとチェックしておきましょう。

試運転して特に異音などがなければ作業は完了です。
あとは、後日各部の増し締めなどをしておきましょう。

お約束ですが、作業は自己責任で行ってください。


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2005.3.3(木)更新

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