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馬力とトルクについて(シビックタイプRとの比較)


比較といっても、エンジンのヘッドをバラして、
「う〜ん。。。このカムはねぇ〜。」
なんてマニアックなことはしません。(笑)
まぁスペック狂の頃は誰でもやるようなカタログ値での比較です。

まずはAE111レビン・トレノに搭載されている通称ブラックヘッドの4A-Gエンジンと
シビックタイプR(SiR)に搭載されているB16B(B16A)エンジンのエンジン性能曲線を
比較してあ〜だこ〜だ考えてみましょう。
4A-Gの最大トルクは16.5kg・m(6500rpm)、最大馬力は165PS(7800rpm)です。


図1 4A-G性能曲線


図2 B16B(B16A)性能曲線


単純に馬力だけを比較すると4A-Gは明らかにB16Bよりも劣っていることになりますね。
しかし、エンジンの性能とは最大馬力のみで優劣が決まるものなのでしょうか?
いや、そうではありませんよね。
人によって最大馬力とか低速トルクとかレスポンスとか重要視するものも変わりますので、
何が素晴らしいかは人それぞれってモンだと思います。
最大馬力ばかりにこだわる人でも、
市街地を走行するのに常にレブまで引っ張る人なんていないでしょうし、
サーキットを走る人でも、年間の走行距離から見れば
スポーツ走行の走行距離なんてごく一部だったりします。
そういう意味では最大馬力の数値が大きなエンジンが偉くいワケではないはずです。
街乗りしかしない人やAT車の人にとっては、
自分が通常使う回転域(主に4,000rpmくらいまでだと思いますが)の
トルクがモリモリしていてば嬉しいはずです。
一般的には

「馬力がある」

と言ったら最大馬力(レブリミット付近の高回転域)を示し、

「トルクがある」

と言ったら、そのトルクは低回転域のトルクを指しているように思われます。

しかし、そもそも車を走らせるのはドライバーなんですから、
他の車のエンジンと比較して少しの差をネチネチ議論しても何にもならないでしょう。
だからこの議論は終了!

というのは冗談として、まぁ一応比較してみましょう。(笑)
そもそも車そのものからしてレビン・トレノとタイプR軍団では差が有りすぎると思います。
ベストモータリングなんかでもシビックにタイプRが登場してからというもの、
レビ・トレは完全に噛ませ犬的存在です。
そもそもシビックやインテのタイプRって、あの新車価格で利益とかあったのでしょうかね?
少々疑問です。


で、とりあえずエンジンだけに注目してみましょう。
グラフ上では大きな違いが一つありますよね。
それはトルク曲線の形の違いです。
B16Bがレブリミット付近で最大トルクを迎えるのに対して、4A-Gは中回転域で最大トルクを迎えています。
これは一体何を意味しているのでしょうか?
馬力とトルクの意味を良く理解している人ならばおわかり頂けると思いますが、
私は「トルクがある回転数=加速が得意な回転数」だと考えています。
つまり最大トルク付近の回転数がパワーバンドとなります。
速く走るためにはこのパワーバンドをどれだけ使いこなせるかが重要で、
B16B乗りは常にレブリミット付近の回転数を維持して走行しなければなりません。
即ち、ドライバーにそれなりのテクニックを要求するエンジンだと思います。
加速が良いからといってちょっと引っ張り過ぎればレブリミットに当ててしまいますし、
早過ぎるシフトアップで回転数を落としてしまえば、パワーバンドを外してしまいます。

これに対して4A-Gはパワーバンドが中回転域にあり、扱いやすいエンジンだと思います。
走るコースやギヤ比によっては、いつもベストなタイミングでシフトアップができるとは限りません。
4A-Gの場合、そのような状況でも
パワーバンドから大きく外れることはありません。
基本な特性としては、レブリミット付近でパワーが頭打ちになるので、
例えば緩いコーナーのコーナリング中にクラッチを切って車の挙動を乱してまで
無理やりレブぎりぎりまで引っ張ってシフトアップする必要もないこともあります。
そのような場合は直線中で多少早めのシフトアップをしてしまうというのも選択肢の一つです。

また、メーカーは1種類のエンジンを他の車種にも搭載させ、
車種のグレードのラインアップを充実させたりもします。
また、スポーツカーと言ってもMT車だけでなく、AT車も存在します。
つまり、車種やミッション形式によってもギア比はことなることになりますので、
4A-Gというエンジンは低・中速トルクもバランスが良いことより、
他の車種(ミッション)やAT車への搭載にも融通を利かせたエンジンと言えるかもしれません。

それと関連付けて、重要なのはグラフの山の「高さ」ではなく、「面積」という点もあります。
そういう意味ではB16Bは最大トルクの山の左半分しか使うことができず、ちょっともったいない気もします。
もちろんエンジンとしては回せば回すほどパワーが出る方が気持ち良いでしょうけどね。
羨ましいです。
これに対し4A-Gは最大トルクの山を両端までを使い切ることができます。
これはこれで、有利な点と言えるのではないでしょうか?

また、上に書いてきたことや馬力測定結果の理論に書かれたことが理解している人なら
なぜ4A-Gの方がトルクはあるのに、B16Bと20PSもの馬力の差があるのかもわかると思います。
すなわち、

馬力(PS) = トルク(kg・m) × 回転数(rpm) ÷ 716.6

ですので、レブリミット付近で最大トルクを迎えるB16Bの方が馬力があるのは当然なのです。
また最大馬力を発生する回転数もB16B方が400rpmも高いです。
つまり最大馬力の数字のみを追求するのであれば、
ひたすら高回転域に有利なチューニングを施せは良いことになります。
ただし一般的には、高回転域と低回転域の両立は難しいと言われています。
抜けが良すぎるマフラーを装着すると低速トルクが減るのと同じですね。
レース専用の車両であれば思い切ったチューニングも可能であるかもしれません。
だが最大馬力のスペックばかりにとらわれてしまっては、
一般道においては回転を上げなければ坂道も登れない車を作り出してしまうことにもなりかねません。
チューニングするとすれば、最終的な方向性はオーナーの判断次第ですね。
私が自分の車に行ってきたチューニングも、なるべくデメリットの無い項目を選んできたつもりです。
決してお金が無いからマフラー交換しなかったワケではありません。(^^;
音がうるさくなると気兼ねして走れなくなりますし。。


結局、どっちのエンジンが優れているかと言われれば、
私の意見ではスポーツ走行に特化したB16Bでしょう。
まぁそれ以上に車全体としてシビックタイプRの方がスポーツ走行を意識して
作られている点を強調したいのですが。
しかし先にも言いましたが、車を走らせるのはドライバーなんです。
結局のところ、自分が満足した走りができれば、
他に速い車種があろうが関係ないのではないでしょうか。
車に愛着のある人程、自分の車が一番速いと思い込む傾向があるようです。
しかしカタログ上の馬力やトルクが少し違っているくらいで
劣等感を感じたり、悔しがったりすることもないのでは?と思います。
趣味の範囲であれば、この世界は自分のテクニックの方が重要ですよ。
車を自分好みにセットアップするテクニックも能力の一つかもしれませんけど。


余談ですが馬力には気象条件の要因も絡んできます。
具体的には、1、気温 2、湿度 3、気圧 です。
カタログに掲載されている馬力・トルクはJIS規格により標準気象条件、
つまり気温25℃、湿度70%、気圧1013hpa (760mmHg)に定められています。
気温と湿度は低い方が、気圧は高い方がエンジンにとっては有利ですので、
標準気象条件よりも良い条件であれば同じ仕様でもパワーは出ます。
逆に気象条件が悪ければパワーはダウンしますが、通常のシャーシダイナモなどのパワー測定では
これらの温度、湿度、気圧のパラメーターにより補正を行っているので気にする必要はありません。


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2005.2.19(土)更新

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