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人間は何馬力?


エンジンのパワーで馬力 (PS)という単位をよく用いますが、
果たして1馬力というのは実際どれくらいのものなのでしょうか?
ちょっと考えてみましょう。

まず、馬力という単位は「力」を表しているのではなく、
「仕事」を表しています。
現在では馬力 (PS)表示からkW (キロワット)表示に移行していますね。
ちなみに、

1馬力 = 0.7355 kW

です。
kはキロ、つまり103を表しています。
ちなみに10の整数倍乗の接頭語は

名称 記号 大きさ
ヨタ (yotta) Y 1024
ゼタ (zetta) Z 1021
エクサ (exa) E 1018
ペタ (peta) P 1015
テラ (tera) T 1012
ギガ (giga) G 109
メガ (mega) M 106
キロ (kilo) k 103
ヘクト (hecto) h 102
デカ (deca) da 10
デシ (deci) d 10-1
センチ (centi) c 10-2
ミリ (milli) m 10-3
マイクロ (micro) μ 10-6
ナノ (nano) n 10-9
ピコ (pico) p 10-12
フェムト (femto) f 10-15
アト (atto) a 10-18
ゼプト (zepto) z 10-21
ヨクト (yocto) y 10-24

メガとかマイクロくらいは日常生活でも耳にしますが、
ヨタとかヨクトなんてさっぱりですね。


話を戻して。
つまり

1馬力 = 0.7355 kW = 735.5 W

になります。
そこで、W (ワット)とは何ぞや?ということを考えましょう。
中学校の理科、高校の物理を思い出してみると、

1W (ワット)は仕事率。
1秒間当たり1J (ジュール)の仕事を示す。

でしたね。
ではまたまた疑問が。
J (ジュール)って何ぞや?です。

1J = 1N・m

です。
ここでNはニュートン、mはメートルです。
実生活ではNはあまり使わないので、
kgw (キログラム重)で考えた方がイメージしやすいと思います。

1kgw・m = 9.8N・m = 9.8J

です。

これらの要素をまとめて結果だけまとめると、

1馬力 = 1秒間に75kg重の力で物体を垂直方向に1m持ち上げた時の仕事率

となります。
75kg重の「重」については重力に対して垂直と考えれば良いです。
井戸水が入ったバケツを汲み上げる、バーベルを持ち上げる
などの姿を想像すると理解しやすいと思います。
自転車で走る、荷物を押すなどの動作は、横方向なのでダメです。

どうでしょう?
75kgのバーベルを1秒で1m持ち上げる。。。
人間だと1馬力出すのはかなりキツそうですね。
力持ちの人ならできるかもしれません。


ただ、1馬力と言っても、別に75kgでなくとも良いです。
例えば半分の37.5kgだったら、
1秒で2m持ち上げる
0.5秒で1m持ち上げる
のどちらも1馬力です。

同じように0.5mしか持ち上げないとしたら
150kgを1秒で持ち上げる
75kgを0.5秒で持ち上げる
が1馬力になります。
要は1馬力という仕事は

重さ(kg重) × 距離(メートル) ÷ 時間(秒) = 75 kgw・m/s

なんですよね。
ちなみに、普通の人間は大体0.25馬力くらいと言われています。

ちなみに馬力を単位として制定したのは、蒸気機関を発明したジェームス・ワットです。
当時、蒸気機関を導入する工場が増えたため
「公正な使用料を徴収するために、性能が客観的にわかる単位」
が必要だったようです。
そこで、ワットは自分の作った蒸気機関に馬と測定器を結びつけ、
馬がどれくらいの仕事をするのかを調べました。
すると馬は175ポンドの力で1分間に188フィート歩きました。
2つの数値をかけると、毎分約33000フィートポンド。
ワットはこれを1馬力と定めました。

現在では馬も品種改良が進み、
ワットの時代に比べると4倍くらいの仕事ができるようになったようです。


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2005.2.19(土)更新

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